『庵野秀明 スキゾ・エヴァンゲリオン』
『庵野秀明 パラノ・エヴァンゲリオン』
通称『スキゾパラノ』。
旧作のエヴァ、つまり『新世紀エヴァンゲリオン』という作品を知る上で最も重要な資料のひとつ(※)で、私がエヴァファンとなった当時は「エヴァファンパスポート」という言葉を目にした事があるほど。
それから私もそう呼んでいます笑
※最重要資料
『新世紀エヴァンゲリオン2』や『エヴァンゲリオン・クロニクル』には、本編では語られなかったにも関わらず、今日、おおよそWikipediaなどで見て「前提知識」として知られている設定等が多く開示されています。
タイトルは精神医学に由来する用語
- スキゾフレニア=分裂型
- パラノイア=偏執型
が元で、文中でもその言葉を見かけます。
前編(スキゾ)と後編(パラノ)の2冊に分かれており、項目は大別して
庵野秀明 ロングインタビュー
(前編・後編)
メインがこちら。時期としては、TV放映版終了後から旧劇場版が制作される前に行われたインタビューとなっております。
『エヴァンゲリオン』スタッフによる
庵野秀明〝欠席裁判〟
(前編・後編)
『エヴァンゲリオン』という作品を支える〝あの〟制作スタッフ達による、大暴露会。
大泉実成氏による
綾波レイとは何か?
前編(スキゾ)に収録
「綾波レイ」という存在を他に言い換えるならば、どんな言葉があるでしょう。
大泉氏目線で書き連ねられるそれらは、とても興味深い内容となっております。
竹熊健太郎氏による
私とエヴァンゲリオン
後編(パラノ)に収録
『DAICON』時代から『エヴァ』が最終回を迎えるまでの道のりを、ある譬え話として振り返るストーリー。
とてもわかりやすくまとまっていて、個人的に好きです。
となっております。
注釈として用語解説もばっちりで、コラムとしてストーリーダイジェストや、キャラクター紹介等も収録。
非公式の用語事典や考察本が散見される中、公式の資料として、『エヴァ』を読み解く上で信頼のおける基本文献のひとつと言えます。
内容
大泉氏が綾波レイを好き過ぎるあまり、何度もその話題に触れています(目次を見れば明らか)。
そのおかげで
- 綾波レイのモデル
- 赤い目のアイデア
- ダミーシステムに記憶を移植し、引き継ぐ設定
- 受け継いでいる使徒の遺伝子と人間の遺伝子
といった、彼女に関する重要な設定等がここで明言されています。
その他、
- ゼーレとカバラ、死海文書、フリーメイソン
- エヴァとシンクロする、という設定のアイデア
- 企画段階の最終話の構成案
- 原作と漫画におけるテーマの違い
といった、設定やシナリオに関する内容はもちろん、
- 登場人物は全部庵野監督ご自身
- 第拾六話などの「線で会話する」演出
- TV放映版でトウジを殺さなかった理由
- 第弐拾話の「私とひとつになりたい?」の真意
- 第弐拾参話でミサトがシンジに手を出すシーンは、庵野監督としてはそういう意図はない
- 最終話「おめでとうEND」の真相
といった、演出や裏事情に関する内容、さらには
- 『エヴァンゲリオン』という作品は、ただのコピーではない。〝オリジナル〟とは何か、〝コピー〟とは何か。
- アニメ業界の意識を変えたい
という、制作当時に庵野監督がどのような思いでいたのか、あるいは何を伝えたかったのか、思想的な部分も含めて語られていて、
- 当時、庵野監督がキレると…
なんていう裏話を始め、本当にギリギリの環境で『エヴァ』を制作していた現場の事や、庵野監督とその周りの制作陣との関係性といった事までもが赤裸々に、至る所に書かれています。
上記はまだまだ内容の一部で、この『スキゾパラノ』には他にも興味深い内容が載っています。
ぜひ、エヴァと制作陣を知る一冊としてお手元に置いてみてはいかがでしょうか。
関連リンク
関連ツイート
「庵野秀明スキゾ・パラノエヴァンゲリオン」(全2冊)アマゾンで絶賛予約受付中(11月20日発売)。庵野監督が公開トークで「全部私が書いた」と口を滑らす程、監督にも思い入れのある本(実際には庵野・竹熊・大泉による共著です)。http://t.co/ebIhT8jKiA
— 竹熊健太郎《地球人》 (@kentaro666) November 3, 2014
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