『それをなすもの』とは

今でこそ、ようやくそれなりに有名となったエヴァ公式の小説『エヴァンゲリオンANIMA』ですが、この作品には原案となった作品が存在します。
それが資料本『それをなすもの』に収録されている小説『彼方の待ち人』です。
コンセプトデザインワークス
『それをなすもの』より

『彼方の待ち人』とは

TVシリーズ終了後、劇場版の制作にあたって山下いくと氏がシナリオアイデアとして庵野秀明監督に提出した劇場版オリジナル小説です。ただし、ANIMAとは違い〝公式作品〟という扱いではありません。準公式とでもいうべきでしょうか。
コンセプトデザインワークス
『それをなすもの』より
最後の使徒殲滅後に造られた「フォウチュン」と呼ばれるエヴァにより、世界規模の精神汚染が引き起こされた世界を舞台とする話となっています。
デザインワークス『それをなすもの』については、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』制作にあたってデザイン面で参考にされた事が庵野監督からも語られています。↓
庵野:
山下君たちのデザインワークスの『それをなすもの』に、色々と「自分ならこうする。今ならこうする」的なデザインが結構載っていて、よかったんです。新ネルフマークや新プログナイフ案もその中の一つで。
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』全記録全集より
この『彼方の待ち人』には興味深いエヴァンゲリオンが登場します。まずはそちらをご紹介しましょう。

死神の背骨

コンセプトデザインワークス
『それをなすもの』より
沈下型領界侵攻銃(フィールドシンカー)とは、『彼方の待ち人』に登場するエヴァンゲリオンが使用する兵器です。コードネームは「死神の背骨」。
『エヴァンゲリオンANIMA』において「天使の背骨」「悪魔の背骨」というコードネームで復活しています。
ユーロドイツネルフ支局により極秘裏に建造されましたが、建造開始直後から、周りにある種の洗脳のように強力な精神汚染を始めました。
また、基本原理はエヴァANIMAに登場する背骨と同じで、浸食型に位相変換したA.T.フィールドに加速した重粒子を乗せ、従来のA.T.フィールドの反発力によってさらに加速させ目標に到達させるもの、となっています。絶対の命中を保証された、対エヴァ兵器です。
ただし、エヴァANIMAの天使の背骨とは違い、これ自体が一機のエヴァのようなもので、動力源であるA.T.フィールドをこの銃の中に自ら発生させることができます。そのため、零号機F型が右腕と右足を切除したように動力源を確保する必要がありません。この設定はエヴァANIMAの「悪魔の背骨」に引き継がれています。
文中では「エヴァさえ一撃で葬れる」となっています。

エヴァフォウチュン
EVA FORTUNE

コンセプトデザインワークス
『それをなすもの』より
死神の背骨と同じく、人間を洗脳して自らを建造させたエヴァ。自らを造らせた国(どこの国かは不明)を焼き払い、世界規模の精神汚染を始めました。
捨て駒にされたアスカの精神を吸収、エヴァを喰らうなどします。

この世界には

〝ある水準に達した〟エヴァが3体存在すると、その次には必ずフォウチュンが誕生する

という〝エヴァの絶対法則〟が存在し、フォウチュンは3体のエヴァを使って、青白く光る巨大な敵、呼称:「オブジェ」を建造する事が役目のようです。

この〝エヴァフォウチュン〟は、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』に登場したエヴァンゲリオン第13号機の元ネタになったとされる、両腕が胸の前で組まれた四本腕の機体デザインで描かれています。

『彼方の待ち人』以外にも、ゲーム『鋼鉄のガールフレンド』に登場する「T・RIDEN・T」や、セガサターンのゲームに登場する「第X使徒」、さらにエヴァ初号機の初期案(と同時にEVA Mark.06やアルマロスの原案)といった貴重なデザインや設定案を非常に多く収録した、大変重要な資料本となっておりますので、ご興味ある方はぜひ、お手に取ってみてはいかがでしょうか。

※追記

2019年7月6日に公開された、

シン・エヴァンゲリオン劇場版 AVANT 1(冒頭10分40秒00コマ) 0706版

に登場した4444Cに関する資料が公開され、「アルキメデススクリュー」が採用されている事が判明しました。
「アルキメデススクリュー」は『それをなすもの』66ページにも登場します。
コンセプトデザインワークス
『それをなすもの』より

関連リンク


関連ツイート


関連外部記事/イラスト

アルマロスの部屋

2015年~2017年にかけて、Q&Aアプリ〝LINE Q〟で活動していたEVA Mark.06が管理するウェブサイト。 2017年のLINE Qサービス終了に伴い、LINE Qに投稿していた内容をNAVERまとめに再投稿、新規投稿もしています。

0コメント

  • 1000 / 1000