『新世紀エヴァンゲリオン劇場版
Air/まごころを、君に』より
『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』、いわゆるエヴァ旧劇のラストで、サードインパクトの後に赤い海の浜辺でシンジとアスカの二人が横たわっていました。生き残っていた、と表現される場合もありますね。
なぜ、初号機に乗り人類補完計画の中心にいたシンジだけでなく、アスカもその場にいたのか?
という疑問が、先日エヴァ集会(LINEオープンチャット)で投げかけられました。これに対して様々な意見が飛び交い、アツい議論が展開されました。
今回は一般説とされる①~④と、異端とも言える説❺,❻、そして後日さらに考えて私なりのひとつの意見として提唱する説❼の、合計7つの説の紹介と解説をしていきたいと思います。
『新世紀エヴァンゲリオン劇場版
Air/まごころを、君に』より
①エヴァに搭乗していたから
アスカはエヴァ弐号機に乗り、奮闘の末にエヴァ量産機達にズタズタにされました。この後に補完計画が発動しました。つまり、補完計画中、エヴァ弐号機に乗っていた扱いとして考えれば、エヴァがアンチA.T.フィールドからアスカを守り、そもそもL.C.L.化されなかったのではないかという考えです。
『新世紀エヴァンゲリオン劇場版
Air/まごころを、君に』より
ただし、この説は量産機がバラバラの弐号機を咥えて運んでいた事、アスカが弐号機からいつの間にか出てきて浜辺にいた事、といった矛盾があり、そもそもエヴァがリリスのアンチA.T.フィールドに抗えるのかという疑問も残ります。
②シンジの願いにより最初に還元された・唯一生き残ったから
一度アンチA.T.フィールドによりL.C.L.化したものの、シンジがアスカに〝他人〟としての存在を望んだ、或いはアスカと二人(だけ)の世界を望んだからという考えです。
『新世紀エヴァンゲリオン劇場版
Air/まごころを、君に』より
しかしこの説の場合、そうまでしたのに、最後にアスカの首を締めてしまう行動に説明がつきません。
③アスカが補完を、シンジとひとつになることを拒んだから
これが最も一般的な説でしょうか。
「あんたが全部私のものにならないなら、私何もいらない」
というセリフからもわかるように、アスカはシンジに対して強い好意を持っています。
それ故、シンジとひとつになる補完計画を、全てがひとつになった世界を拒絶し、人一倍、あくまで他人として、別々の、一人の人間としてシンジの隣にいたいという願いから、補完を逃れ(L.C.L.の海から還っ)たという考えです。
「あんたとだけは死んでも嫌」
というセリフもこれを裏付けます。
なんだかんだでシンジのことが好きだったから一緒になるのを拒んだ結果、という考えとも言えますね。
『新世紀エヴァンゲリオン劇場版
Air/まごころを、君に』より
しかしこの説も疑問の残る点があります。
日本中・世界中に、シンジ(もしくは〝誰か〟)と一緒になりたくないと思うヒトなんてアスカ以外にもいるはずです。
これだけ世界中に様々なヒトがいる中、アスカ〝だけ〟その気持ちが強い、というのは些か強引というか、無理があるのではないでしょうか。
そもそも、あれだけのオーバーテクノロジー(人類補完計画)を前にして、その効果発動者(シンジ)ならともかく、その対象者(世界中の人々)の心一つで抗えるという理屈自体、あまりに虫が良すぎる話ではないでしょうか。
これらの矛盾を演出上の都合だ、と片付けてしまう考え方もあるとは思います。
あくまで純粋に現象を見る限りは、あの浜辺にアスカ以外にヒトが存在しないのは道理に合わないという事です。
④アスカのA.T.フィールドが強いから
補完計画の終盤、
「自らの心で自分自身をイメージできれば、誰もがヒトの形に戻れるわ」
というセリフがあります。つまり、アスカが最初に戻ってきたと考えれば、彼女は単純にシンジを除く人類最強の強力なA.T.フィールド(自らのイメージ)を持っており、すぐに自身を形成できたという事ではないか、という考えです。
『新世紀エヴァンゲリオン劇場版
Air/まごころを、君に』より
(画像はイメージです。弐号機ではなく、あくまでアスカのA.T.フィールドの話です。)
どうでしょう? 敢えて皮肉を込めて〝人類最強〟と書きましたが、やはりこの説も③同様、無理があるのではないでしょうか?
❺シンジがアスカを拒んだから
③説とは真逆の考え方です。
劇中でシンジがアスカに
「助けて、一人にしないで!」
と訴えますが、これに対してアスカが
「嫌。」
と突き放し、逆上したシンジがアスカの首を締め上げるというシーンがあります。
『新世紀エヴァンゲリオン劇場版
Air/まごころを、君に』より
この描写から、シンジがアスカを拒絶し、補完の儀式から外したのではないかという考えです。
この場合なら、先に紹介した説の矛盾や疑問点はなくなりますし、あの赤い海の浜辺で最後シンジがアスカの首を絞めた行動にも筋が通ると思います。
③説で解説した通りアスカがシンジに好意を持っていたのは明白ですが、その逆も…という訳にはいかないのかもしれません。
実際、TV放映版第弐拾四話のシンジの
「友達は… 友達と呼べる人はいなくなってしまった…誰も…」
という心の声は、アスカを友達とすら認識していない事の表れではないでしょうか?
❻アスカが補完計画発動者=シンジに近しい立場にいたから
量産機に啄まれた弐号機及びアスカは、初号機に喰われたゼルエルと同様に取り込まれてしまったと仮定します。
とすれば、補完計画中、アスカは量産機の中に存在しており、その量産機はS2機関を解放・共鳴させる事によりリリスの補助的な役割を担っていたので、アスカはシンジと同等とまではいかずともそれに近い立場にいて、それで補完計画後もシンジと同様の扱い、つまり浜辺に横たわっていたという考えです。
『THE END OF EVANGELION』より
この❻説については、エヴァ集会チャット内でさらに量産機とS2機関の本質に迫っていきましたが…、今回の内容から少し逸れるので割愛という事で。
これについて一人悶々と考える中で、後日こんな説もありかな、と思いましたので、ここに異端説❼として追記します。
❼「他人の恐怖の象徴」だから
❺説に近い考え方です。
シンジは補完計画の途中、「ひとつになる」事を拒み再び他人のいる世界を望みました。カヲルが「他人に恐怖する」と形容した世界をです。つまりシンジは、そうであったとしても、あくまで他人として触れ合いたい、そう願ったわけです。
その後、実際に元の世界に戻ります。シンジ個人にとって、「他人の恐怖の象徴」とも言えるアスカが、隣にいるという状況。まさしく、シンジがこれから向き合わねばならないヒトの象徴が彼女だという事です。
『新世紀エヴァンゲリオン劇場版
Air/まごころを、君に』より
そして、
「他人の存在を今一度望めば、再び心の壁が全ての人々の心を引き離すわ。また、他人への恐怖が始まるのよ 〜 自らの心で自分自身をイメージできれば誰もが人の形に戻れるわ。」
のセリフ通り、アスカに続いて終幕の後に他のヒトが戻ってくるのでしょう。
実際、アスカの後に他のヒトも続いて復元される、と公式で説明されています(この部分は、公式の資料でも相反する設定もあり)
一度は決心したものの、やはりシンジは恐怖します。
「また嫌われるのではないか?」
そういった想いに迫られるのです。
とっさにシンジはアスカの首を締めてしまいます。怖いからです。一度首を絞めた時の記憶がフラッシュバックした故の行動でしょう。
これに対してアスカは「気持ち悪い」と言うわけですが…
このセリフについての言及・考察は他サイト様の記事等でも多く扱われていると思いますし、ぜひ色々と調べて考えてみるのも良いかと思います(^^)
以上が、あの場にアスカも横たわっていた理由に関する考察、全7種の紹介です。
皆さんの考えの整理等に役立てればと思います。
3コメント
2020.07.21 04:00
2020.07.20 13:07
2020.07.20 13:06