考察「ゼーレの少女、アヤナミレイ(仮称)」

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』より
『:Q』に登場するアヤナミレイ(仮称)、通称・黒波。彼女は『:破』でシンジが救った2人目の綾波レイ(※)とはまるで別人でした。

※注釈※
『:破』の綾波レイのチョーカーに「REI-02」の文字あり
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』より

そこで真っ先に連想されるのが恐らく皆様共通でしょう、
『新世紀エヴァンゲリオン
カードゲーム』より
TV放映版の第弐拾参話「涙」のセリフ。

旧作エヴァの設定では、消えた綾波レイは新たな器(クローン)に魂が宿る事で、記憶はほぼ引き継がれずに◯人目として登場しました。


ただし、新劇場版で同じように考えると少しおかしな話になってしまいます。
何故なら綾波レイはシンジによって第10の使徒のコアからサルベージされた後、初号機に保存されたはずだからです。

ヴィレは否定していますが、冬月はこれを証言しています。
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』より
2人目の綾波レイが初号機に保存されているということは、碇ユイと同様、魂が初号機に宿っているということではないでしょうか?

これでは旧作と同様の設定で考えてしまうと『:Q』の黒波の存在に説明がつきません。
では黒波は一体、どのような理屈で存在しているのでしょう?


黒波について『:Q』では、以下のように言及されています。
カヲル「リリンの模造品では無理だ。魂の場所が違うからね」

マリ「ゼーレの暫定パイロットさん」

アスカ「綾波タイプの初期ロットか」

さらに、画コンテでは冬月が以下のように言及しています。
「君を運んで来た複製体は、Mark.09の暫定パイロットとして用意されたアヤナミ型試作体第6号だ。ユイ君の情報は転送されていない。ゆえに、碇も興味ないようだ。
あの複製体はゼーレのプログラムで動いている。我々の関知しないところだ。」

そう、つまり『:Q』に登場する黒波はそもそも今まで通り(旧作の設定のような)ネルフによって、量産された綾波レイのクローンにリリスの魂を宿らせた存在ではなく、

〝ゼーレによって擬似的な魂(≒プログラム?)を与えられただけの人形〟

という事のようなのです。
※「擬似的な魂」については後述。


黒波のセリフ
「命令を、待ってる」
や、Mark.06の首を刈り取った際の
「これが命令」
というのは、ゲンドウらの命令ではなく、ゼーレの命令だったのではないでしょうか?

言うなれば、カヲルを「ゼーレの少年」と呼称するのと同様に、アヤナミレイ(仮称)は「ゼーレの少女」と言えるのかもしれません。

実際、『:Q』で黒波とゲンドウが話すシーンは一切ありませんでした。

さらにこれを裏付けるのが『:Q』の予告です。
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』より
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』より
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』
画コンテより
画コンテを確認してもわかるように、この場に立つのは手前がカヲル、奥の4人がレイ達です。それを「SEELE CHILDREN'S」と表現しているので間違いなさそうです。

もちろん、予告のレイの1人が黒波と同一人物である前提のお話なのですが…その辺りはまた今度。


この「ゼーレの少女」を踏まえて『:Q』を観てみると、黒波という存在はもはやシンジが求めていた、救ったはずの〝綾波レイ〟の要素が最初からほぼ皆無なんですね…。まさに、見た目だけで中身は魂から全くの別物だ、と。なんだか一筋の希望もないような感じです。

ただしポジティブに考えるのなら、初号機に保存されている「綾波レイ」はあの「:破・綾波レイ」のまま、魂もろとも何も変わらずそこにいる、という事になるはずです。

もし(なんらかの形で)再会があるとすれば、『:破』の綾波レイがそのまま画面に帰ってくるわけですね。

擬似的な魂について

擬似的な魂の設定、といえばダミーシステムでしょうか。旧作の設定では、綾波レイのクローンをシステムのコアとして活用する事により、パイロットの思考の真似をするただの機械としてとして運用できる、というものでした。
(魂のデジタル化は不可能、あくまでフェイク)

しかし、『:破』で登場したダミーシステムは加持曰く
「ゴルゴダベースからの厳封直送品」
つまりネルフ本部で製造されたものではないのです。外部で製造されたということは、綾波レイのクローンは関係ないのでしょうか?

ダミーシステムに関して、全記録全集によると庵野監督がインタビューで
「設定は旧作と少し変更して考えてます。」
と回答されています。
新劇場版では擬似的な魂を製造することができる新設定が追加されたのかもしれませんね。

もしくはエヴァANIMAのように、何らかのきっかけでリリスの魂を持たないはずの器に自我を芽生えさせたのかもしれません。
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』より
※新劇場版にはエヴァANIMAとの共通点が多く見られます

余談ですが、

『:Q』の画コンテには欠番となったカットも載っています。
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』
画コンテより
このカットの〝13〟という数字に着目してしまうとエヴァの数だと考えてしまいますが、ここでは〝REI〟の文字に着目してみます。つまりこのカットは「綾波レイ」の通し番号を表しているのではないでしょうか?
さらに03〜05を見てみましょう。それぞれ
03→10
04→11
05→12
と、書いてあるようにも見えます。『:序』『:破』の綾波レイが02、『:Q』の黒波が06ならば、『:Q』予告に登場する4人のアヤナミレイが03〜06だと考えると、数の上ではピッタリです。

また、黒波第1のアダムスの器でもあるEVA Mark.09のパイロットである事を踏まえ、さらに予告のウルトラサインがそれぞれセカンドインパクト回想シーンに登場したアダムスのコア(カラータイマー)の外見に対応していると考えると、
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』より
4人のアヤナミレイ全員がアダムスの器のパイロットで、機体は先程の通し番号と照らし合わせるとEVA Mark.09に続いて、それぞれEVA Mark.10〜12(第2〜第4のアダムスの器)なのかもしれません。

このアヤナミレイ(仮称)についてですが、『:Q』の続きの話ではないかと噂される「until You come to me.」にも登場します。
『until You come to me.』より
『:Q』仕様の黒いプラグスーツを着た、アヤナミレイ(仮称)

このシーンの黒波に注目。
『until You come to me.』より
恐らくこの黒波に違和感を覚える方はそう多くはないのではないかと思います。
しかし、

違和感を覚えざるを得ない部分があるのです。


… 一度『:Q』の黒波を確認してみましょう。
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』より
いかがでしょうか。プラグスーツをよく比較してみてください。



そう、ラインの色が「赤」→「青」に変更されているのです。
「青」といえば、ヴィレのバンダナや、アスカのプラグスーツのポイントとして配色される、「対ネルフ組織」のイメージカラー。

ゼーレの少女「アヤナミレイ(仮称)」がネルフで任務をこなし、シンジやアスカと共に行動、プラグスーツの色が変更、そして…
『until You come to me.』より
一体彼女は何者なのか、あるいは何者となるのか、そして次回作でシンジ達にどんな影響を及ぼすのか…。目が離せない人物ですね。

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アルマロスの部屋

2015年~2017年にかけて、Q&Aアプリ〝LINE Q〟で活動していたEVA Mark.06が管理するウェブサイト。 2017年のLINE Qサービス終了に伴い、LINE Qに投稿していた内容をNAVERまとめに再投稿、新規投稿もしています。

2コメント

  • 1000 / 1000

  • @塩ラーメン特報を見る限り、マリも変更がありましたね…
  • 塩ラーメン

    2020.07.17 08:42

    シンジはプラグスーツに変更が無いように見えますが、アヤナミレイ(仮称)とアスカは変更がある。不思議ですね😅 (私が気付いてないだけで、シンジのプラグスーツも変更されてる?)