エヴァのループ説やパラレルワールド説。これほどまでに、エヴァにおいてごく一般的に噂されるポピュラーな説は他にないかもしれません。皆様もよくご存知の話かと思います。
今回はこの説について、根拠としてよく挙げられるもの等を整理・解説していきます。
本題に入る前にまず、恐らく間違った見解として「海が赤い」「月の血痕」といった根拠を解説しておきます。
❌ 新劇場版の海は最初から赤い
たまに勘違いされている方がいますが、これは事実ではありません。
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』より
加持とシンジの会話から、
セカンドインパクトによって海が赤くなった
という事がわかります。
❌ 月面に旧劇場版リリスの血痕がある
これもよく勘違いされている方がいますが、先に同じく『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』セカンドインパクト回想シーンの画コンテを確認すると、
血痕もまたセカンドインパクト由来
だという事がわかります。
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』
画コンテ C+D PART
402 Ⅰ 改 より
上記2点「海が赤い」「月の血痕」はあくまで新劇場版内の出来事が原因であり、ループ説等の根拠にはなり得ないと思います。
一方で、別世界の存在を示唆するような発言も…
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』より
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』より
これらの発言から、渚カヲルは確かに
別世界線の碇シンジを知っている
と判断するのは至極当然であり、渚カヲル自身が物語を〝やり直し〟しているとも捉えられます。
ただし、その〝別世界〟が果たして既出の作品(TV放映版、旧劇場版、漫画版、小説版)のいずれかを指すのか、はたまた新劇場版の設定内の世界を指すのか、これは不明です。
渚カヲルが「過去の世界」もしくは「別の世界」などの記憶を、作品という枠、あるいは時空を超えて引き継いでいるとすれば、彼が「ループ」や「パラレル」の主観の持ち主、つまり中心人物であると言えます。
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』より
また多少強引な考え方ですが、『:Q』において冬月コウゾウから語られた、「碇シンジの記憶が一部消去されている」という事実から、渚カヲルの一連の発言が、その消去された記憶(新劇場版でまだ描かれていない部分)を指しているという可能性もあります。
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』より
そもそも、渚カヲルはゼーレと同じく死海文書の内容を知っているので、まるで別世界から来たかのような情報量を持っているのかもしれません。
月面の棺の数
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』より
『:序』終盤、渚カヲルは月面の「静かの海」で目覚め、9つの棺のうち1つから姿を現しました。
『新世紀エヴァンゲリオン劇場版
Air/まごころを、君に』より
そして旧作に登場する、渚カヲルのパーソナルパターンが移植されたダミープラグによって稼働するエヴァ量産機の総数もまた9機。
この一致は何を意味するのでしょうか。
次回作タイトル末の記号
また、ナタリー映画の記事で『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』の
「:||」はリピート記号が正式表記
である事が公表され(2019/12/27)、「もう一度」の意味が込められている事が判明しています。
ただし「何度も繰り返す」というような意味(ループ)の記号ではなく、あくまで「一度繰り返す」というものです。
until You come to me.
日本アニメ(ーター)見本市で公開された『until You come to me.』の以下カットでは
『until You come to me.』より
左から順に、
- 原作 第八話『アスカ、来日』
- (旧)劇場版『Air/まごころを、君に』
の惣流・アスカ・ラングレー
続いて
- 『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』
- 『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』
の式波・アスカ・ラングレー(※)
が並べて描かれており、やはりこれも旧作との繋がりを示唆しているように見えます。
(※)『:Q』のアスカが「惣流」か「式波」かという点については、公開時のパンフレット内、宮村優子さんのインタビュー下に「式波・アスカ・ラングレー役」の記載あり。
庵野秀明総監督『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』所信表明
「エヴァ」はくり返しの物語です。
主人公が何度も同じ目に遭いながら、ひたすら立ち上がっていく話です。
わずかでも前に進もうとする、意思の話です。
曖昧な孤独に耐え他者に触れるのが怖くても一緒にいたいと思う、覚悟の話です。
同じ物語からまた違うカタチへ変化していく4つの作品を、楽しんでいただければ幸いです。(庵野秀明総監督『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』所信表明より)
この「くり返し」の部分に着目し、ループを主張する考え方もあるようです。
個人的には「エヴァという物語の中での、登場人物の挫折と覚悟、成長の〝くり返し〟」や、「エヴァをもう一度また新たに制作する上での、作業的な〝くり返し〟」という意味合いと捉えています。
皆様はどう読みますか?
制作スタッフのインタビュー
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』
全記録全集、
榎戸洋司さん(脚本協力)の
インタビューより
- エヴァの裏設定
- 十六年前の話の続き
- つながってる宇宙
これらのキーワードから、旧作と新劇場版に何らかの繋がりがあると捉える事もできますが、発言の真意は定かではありません。
いかがでしたでしょうか。
やはり何らかの形で「旧作」と「新劇場版シリーズ」は繋がりがあると判断できそうです。
しかし、旧作と新劇場版では
あまりに設定が違いすぎる
ため、単にループしているとは考えにくいかもしれません。
また新劇場版は元々、ほとんど原作をなぞるだけの予定だったのが途中で『:破』のストーリーから〝大幅に〟変更された事がインタビューで明言されています。
この事からも、大掛かりで複雑な時系列の設定がなされているとは考えにくいと言えます。
ただし、
後付けの設定で綺麗に収まるのもまたエヴァという作品であり魅力です。事実として、庵野秀明監督らにそういったお考えがあるのも確かです。
今後、新たな発表や描写等によってはループ説、パラレルワールド説の可能性が見えてくる事もあるかもしれませんね。
以上、エヴァのループ説・パラレルワールド説に関する所見でした。皆様の考察にお役立てください。
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